リコピンが健康に良いというエビデンスは……
実はありません。
詳しくは後述しますが、トマトに含まれているリコピンを抽出、摂取して健康になったというエビデンスは今のところありません。
メディアでよく「○○という成分は健康に良い!」と取り上げられますが、食品に含まれる成分を抽出して摂取すると、逆にがんなどの死亡率を上げてしまうものがあるようです。
食品を栄養として、もしくは成分の集まりとしてのみ捉える考え方を「栄養至上主義」といいます。
健康になるために重要なのは成分ではなく、どんな食品を食べるかです。
今回は食シリーズ第3弾。
究極の食事で最高のパフォーマンスを維持すれば、今よりもっと幸せな毎日を送れるはずです🌟
今回参考にさせていただきました本はこちらになります。
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
著者:津川 友介
出版社:東洋経済新報社
目次
錯綜する情報
医者や栄養士であれば、健康な食事に関する知識が豊富で信頼できるというイメージがあると思います。
私も栄養士指導のレシピを参考にしていた時期があります。
しかし、医者や栄養士が食事に関する信頼できる知識を持っているとは一概にはいえないようです。
医学部では栄養や食事に関することをあまり学ばないらしいです。
栄養や食事に関する専門知識を持っている医師であれば話は別ですが。
また、栄養士は健康的な食事のルールを指導することに長けていますが、そのルールが本当に正しいのかを判断する知識を持っていない人もいらっしゃるようです。
このことから、残念ながら医師や栄養士が完全に正しいとは言えない場合もあります。
そして、メディアが話題にする「健康に良い商品」は果たして科学的根拠があるのでしょうか。
メディアは話題性のあるものを取り上げますが、我々の健康を第一に考えてくれていると断言することはできるのでしょうか。
実際問題、紹介された商品が科学的根拠に基づいて、健康になれると証明されたものであるかどうか判断できる消費者は少ないと思います。
現代の情報社会で何が正しい情報なのか判断することが難しくなっているので、ネットで調べるのにも限界がありますね😣
ですが安心してください。
信頼できるエビデンス(科学的根拠)に基づいて、健康に良いと証明された食品はちゃんとあります👍
健康をもたらすのは成分ではない
βカロテンと聞くと、なんとなく健康に良さそうなイメージがありますよね。
スーパーにはβカロテンが含まれる食品や飲料も並んでいます。
しかし、緑黄色野菜から抽出されたβカロテン(+ビタミンA)を摂取すると、肺がんや心筋梗塞などの病気のリスクを上げる可能性があることがわかってきたそうです。
倫理的にも問題があるとして、研究は中止になったくらいです😱
このように、成分だけに注目していると思わぬ健康被害を被ることになるかもしれません。
成分に惑わされず、様々な種類の健康に良い食品を摂取し続けることが重要ということですね。
さて、ここで冒頭のリコピンについてですが、リコピンを抽出したサプリメントによって死亡率が下がったというエビデンスはありません。
LDLコレステロールを下げるなどの可能性はあるみたいですが、今のところエビデンスが弱いため健康に良いかどうかはっきりとわかっていません。
βカロテンのように有害事象が発現するという可能性もまだ捨てきれないので、今のところリコピン単体で摂取する必要はなさそうですね。
ただし、トマト(野菜)は健康に良いという根拠があります。
科学的根拠に基づく健康に良い食品
魚、野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類
このようにいくつか種類があり、全部説明すると長くなるので一つだけ紹介したいと思います。
- 野菜や果物
1日の果物の摂取量が1単位(バナナなら1/2本、リンゴなら小玉1つ)増えるごとに、全死亡率は6%減り、野菜の摂取量が1単位(小皿1杯)増えると死亡率は5%減るとされている。
出典:「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
摂取量が増えても死亡率が変わらなくなる上限があるようなので、食べれば食べるだけ死亡率が下がるというわけでもないようです。
また、心筋梗塞や脳卒中を予防する可能性が高く、がんを予防することに関してはあまり期待できないです。
野菜が健康に良いというのはなんとなく理解できる人は多いと思います。
しかし、果物は果糖が含まれているため逆に太るイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
ところが、果物を食べている人は糖尿のリスクが低いことがわかっています。
果物には食物繊維が含まれているため、血糖値の上昇を抑制してくれます。
一方で赤肉種のマスクメロンは糖尿病のリスクを逆に上げるので、注意が必要になります。
ではフルーツジュースはどうでしょう。
フルーツジュースは加工の過程で食物繊維が取り除かれるためか、フルーツジュースを多く飲む人は糖尿病のリスクが上がります。
野菜ジュースに関しては、研究されていないため健康に良いのかどうかは不明です。
健康に悪いと懸念されている食品
赤い肉(牛肉や豚肉、加工肉)、白い炭水化物、バターなどの飽和脂肪酸
こちらも長くなるので一つだけ紹介したいと思います。
- 加工肉(ハムやソーセージ)
加工肉の場合、1日あたりの摂取量が50g(ホットドック1本、ベーコンスライス2枚)増えるごとに、大腸がんのリスクは18%増加すると報告されている。
出典:「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
加工肉は発がん性があるとIARC(国際がん研究機関)が発表しました。
これらの摂取が多くなると大腸がんのリスクが上がり、全死亡率が上昇するらしいです。
もっと怖い話をすると、IARCは加工肉を「グループ1(発がん性がある)」に分類していますが、同じグループにはタバコやアスベストがランクインしています。
加工肉の発色剤として主に使われている亜硝酸ナトリウムは発がん性が明確にあるとされています。
ただし、嫌気性細菌の増殖を抑える役割もあるので、デメリットばかりでもなさそうです。
また、ハムやソーセージのパッケージ裏の原材料表示を見ていただけるとわかるのですが、そもそも添加物の量が多いと私は感じます。
添加物の中には安全性が疑われているものもあるので、できるだけ添加物の少ない食品を選ぶことは健康に良い影響を与えると私は考えています。
もしかしたら健康に良い可能性がある食品
ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、お茶、酢など
メディアなどで、健康に良いと取り上げられる食品の大部分はこの「もしかしたら健康に良い可能性がある食品」に分類されているように思います。
確かに少数の研究で、もしかしたら健康に良いかもしれないというデータはあるようですが、エビデンスとしては弱いです。
テレビや雑誌などで取り上げられても、本当に信頼できる科学的根拠に基づくものなのかどうか見極める必要があります。
グルテンフリーによる健康への影響
ある有名スポーツ選手がセリアック病だったということがわかり、食事をグルテンフリーにしたところ好成績を残した、というニュースがあったと思います。
著名な選手ですので、グルテンフリーというワードが瞬く間に世界中に拡散しました。
海外のスーパーや飲食店では既にグルテンフリーの食品が数多く取り扱われています。
日本でも健康に良いというイメージから、グルテンフリーの食品が増えてきたような気がします。
では、セリアック病はご存じですか?
グルテンを摂取すると下痢や腹痛などの症状が出る病気です。
その有名選手はセリアック病であったため、グルテンを控えることで体の調子が良くなったそうです。
では、健康な人が食事をグルテンフリーにすることでメリットはあるのでしょうか?
答えは、今のところ「NO」です。
今のところ、グルテンが人間に対して健康被害を及ぼすという科学的根拠はありません。
グルテンフリーにしたからといって体重減少の効果も期待できません。
日本人がセリアック病になる確率は0.05%とかなり珍しい病気です。
以上のことからセリアック病やグルテンに対しての過敏体質でなければ、グルテンフリーにするメリットはないと思われます。
ちなみにグルテンとは、小麦粉などに含まれる異なる2つのたんぱく質が水で結合して作られるものです。
うどんのもちっとした食感や、パンをふんわりさせる役割があるそうです。
最後に
今回参考にさせていただきました「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」には、信頼できるエビデンスとは何か、妊婦や子どもにとって良い食事、正しい健康情報をネットで検索する方法など、私たちの健康にとってためになる情報がたくさん掲載されています。
オーガニックに関する内容もあるので、食や健康に関心のある方に非常におすすめです。
また、水銀の量が多い魚、少ない魚の一覧もこちらの本に載っているのでとても参考になりました。
私は健康に良い食品に加え、なるべく添加物の少ない食品、加工頻度が少ない食品、国産の食品を選ぶようにしています。
加工頻度が多いと、自然と添加物の量も増えますし、栄養も損なわれると考えているからです。
海外から輸入した食品には、長期間の輸送に耐えられるように殺虫剤や防カビ剤、添加物などを使用せざるを得ない状況だと考え、なるべく国産の食品を選んでいます。
海外産のものが悪いと言っているわけではありません。今はいろんな国の食べ物が流通するようになり、見たことのない食べ物を試すのは私の楽しみの一つでもあります。いろんなものを選べる自由って素敵ですよね。😊
我々の体は、普段食べているものからできています。
健康に良くないものを食べ続けると、いずれ体や精神にまで悪影響を及ぼすことになりかねません。
健康な身体があってこその幸せな人生ですよね。
かといって、毎日の食事に気をつかうのはとても大変です😣
気をつかいすぎてストレスが溜まってしまっては長続きしませんし、ストレスによる健康被害のリスクが上がります。
最初は無理せず、ストレスのない範囲で実施してみましょう👍